8/15
この日、ついに昨年の王者プノンペン・クラウンFCをホームに迎えた。
3日前のボンケットアンコールFC戦では、0-4で完敗を喫してしまった。
だが、敗戦の中でも現在首位チームを相手に通用した部分もあったのも事実。
今節のクラウンも強豪だが、より高みを目指すにあたり、もう負けは絶対に許されない。
これまでチームが築き上げてきた自分たちのサッカーを出すことができれば勝機はあるはずだと僕は思っていた。
試合当日の午後1時、設営のために早めにスタジアムに行った。
容赦なく日差しが照りつけ、目を開けていられないほど眩しく、そして暑かった。
そんな中、僕らがまずとりかかったのがこのチームカラーのオレンジを基調とした幕の貼り付けだ。
スタジアムの雰囲気作りのためにこの手の幕は必須アイテムである。
だが、カンボジアにはその文化がない。
それを今回、クラブのカラーのオレンジ色を中心にロゴでも使われている紺と赤を入れることでカンボジアっぽいテイストに仕上げることができた。
この暑い中、スタッフの先頭に立ち、フェンスに横断幕を貼り付けてくれる加藤オーナー。
加藤オーナーはそれだけにとどまらず、白い横断幕に自ら文字を書き、バック中央付近に設置。
カンボジア人にとって、サッカークラブのオーナーとは「金持ちで太っていて、VIP席に偉そうに座っている」というイメージを持っている。
だが、他のスタッフと同じように率先して準備を行なったり、毎試合来てくれた観客一人一人と握手をする彼の姿は、これまでのオーナーのイメージを覆した。
また、最近、少しずつではあるがカンボジア人サポーターが増えてきていることを実感する場面に遭遇することが多い。
それは加藤オーナーのこういった行動はじめ、タイガーFCのスタッフ全員が「タイガーFCがカンボジア人にとってより身近な存在になる、彼らの潤いになる」という共通の目的のもとに行動しているからだと思う。
直射日光を受けて汗だくになりながら必死にフェンスに幕を備え付けている加藤オーナーの後ろ姿を見ながら、タイガーFCに関われてこの場にいることができて本当に良かったなと再確認した。
横断幕は 「Our Dream Our Hope Our Brave !!」 (私たちの夢、希望、勇気!!)
クラブのスローガンでもあるこの言葉は、まさにカンボジアンタイガーFCがカンボジアの人々に夢や希望、勇気を与えるような存在になろうという意味を込めてこの言葉にした。
試合中、僕達スタッフは選手たちのプレーを直接サポートすることはできない。
しかし、この横断幕を貼り付けたり、観客とともに応援することで選手たちの背中を押すことはできると信じている。
今日も強豪相手に怯むことなく勇敢に立ち向かっていく姿を見せてくれるはずだ。
また、チームのことを信じているのは僕らスタッフだけではない。
ここ最近、インターンで来ている学生たちもチケット販売や選手の顔写真やビッグジャージを貼るなど、皆それぞれ与えられた環境でフル回転で働いていた。3試合目ということもあり、僕達に言われる前に自分達で考えて準備しをしてくれていたので本当に助かった。
また、タイガーガールのあゆみちゃんは、前節に続き、試合が始まってからも大量のうちわを持って入口へ行き、配ってくれた。僕がスタンドで見ていてもいいよと言うと、「いいのいいの、私あまりサッカーとかわからないし、それにこういうの好きだし!」と笑顔で言い、再びうちわを配り始めた。
先ほどの学生たちにしろ、タイガーFCは多くのに支えられているのだと実感した瞬間だった。本当にありがとう。
そして今月は毎試合、サムライカレーさんがスタジアムグルメを出してくれた。
ちなみにカンボジアリーグの試合でスタジアムグルメと呼ばれるものはほとんどはない。
彼らはまず、試食をしてもらうことで味を知ってもらい、それが観客の購買意欲をかきたてているようだ。
スタジアムを「ただ、サッカーを観るだけの場所」から川崎フロンターレのホーム等々力競技場のように「試合だけじゃなく、ごはんも食べれるし、イベントも楽しめるようなテーマパーク」にするためには、彼らの存在は本当に大きい。
試合開始直前、スタジアムは予想通り、ほぼ満員になった。
この要因としてはもちろん、相手が王者・クラウンだからという部分は否めないが、今回は休日開催でスコールも降らなかったなどいい条件が揃ったため、観客が集まったと推測できる。(これまでは毎試合直前にスコールが降っていた=カンボジア人は雨だと外に出たがらない)
カンボジアンタイガーFCのホーム開催試合で史上最大の観客が集まり、大歓声に迎えられて選手達が入場してきた。
この日はアルビレックス新潟プノンペンのサッカースクールの子供たちがハイタッチキッズを務めた。プロの選手を前にみんな緊張気味だったが、目を輝かせていたのが印象的だった。
この日の先発メンバーはこちら。注目はなんといっても木原選手兼監督!
大黒柱の木原選手兼監督
チームの得点王FWカメルーン人プライバット
そして、ゲームメーカーでタイガーFCのナンバー10・MFヴィラック
この3人を中心とした攻撃力は間違いなく、リーグトップクラスだ。(13試合32得点は1位ボンケット、2位クラウンに次いで3位の成績)
タイガーFCの弱点は守備。
守備の要の友廣選手、FWも兼務している長身の吉原選手がケガしてしまったため、DFラインがカンボジア人だけになってしまい、かなり不安になった。
だが、この日は、クラウンの強力な攻撃陣を前にしても全く怯むことなく、クロスを入れられてもしっかりクリアをし、ライン際の微妙なボールでも諦めずに最後まで追いかけるなど気持ちのこもったプレーを見せてくれた。
特に前節のボンケット戦で自身の判断ミスで試合を決定づける3点目を奪われてしまったCBメイサーが躍動しており、絶対説明の場面で体を張ってクリアするなど大活躍。
そしてなんといっても素晴らしかったのが、吉田康幸選手兼GKコーチ。彼がいなかったら何点取られていたかわからないというほどスーパーセーブを連発し、シャットアウト。安定したセーブに攻撃時には正確なフィード。間違いなくこの試合のMVPは彼だろう。
彼らの姿はまるで、1996年アトランタ五輪で日本代表がブラジル代表に勝利したあの「マイアミの奇跡」を彷彿させるような粘り強さだった。
試合は、0-0の引き分けだった。
本当によく耐えたというのが、率直な感想。
タイムアップの瞬間、クラウンの選手たちはうなだれていた。
ここまで11勝2分で無敗のクラウンにとってこの引き分けは相当なダメージを与えることができたと思う。
勝点3は手にすることはできなかったが、これは勝利に等しい引き分けだ。
中断期間前、最後の試合で競合相手に五角以上の勝負ができたことは非常に大きな収穫。
そして、満員というこの素晴らしい雰囲気の中で素晴らしい試合ができたことで今後タイガーFCはより注目されるだろうし、応援してくれるサポーターも増えるに違いない。
この試合のハーフタイムだが、タイガーガールとソンハーによるダンスショーを開催した。
また、スタジアムの雰囲気作りに欠かせないのが「応援」である。
その応援を試合中、タイガーFCのスクール生を中心に行ない、毎試合徐々に人数が増えてきて、簡単なチャントなどもできるようになってきた。(カンボジアでは応援の文化がほぼない)
彼らはスタジアムに来て、僕の姿を見つけると「今日太鼓ないの?」と聞いてくる。 ※太鼓は高価なため、スタジアムにあるのを借りている
どういうタイミングで「タイガーコール」をするのが1番いいか、毎回僕に聞いてくるので今、教えている最中である。
この強豪との2連戦ではついに自発的に選手名をコールできるようになった。コールはまだ、MF木原、GK吉田、FWプライバットの3人だけだが、サポーターに顔と選手の名前を覚えられている証拠である。これは嬉しい出来事だった。
彼らの存在は本当に大きい。
まだ若いが、今後も末永くタイガーFCを支えてくれることになるだろう。
試合後にサポーターと記念撮影。
カンボジアンタイガーFCは、非常に多くの人に支えられている。
今回強豪との2連戦が終わり、リーグ戦は1ヶ月の中断期間に入った。
次は9月12日
前半戦はアウェイ7連戦だったが、今度はホーム5連戦なのでしっかりと準備をして、見に来てくれた観客が楽しんでもらえるよう考えて行きたいと思う。
カンボジアンタイガーFCを支えてくれている皆さん、本当にありがとうございます!
今後も応援よろしくお願いします、
この日、ついに昨年の王者プノンペン・クラウンFCをホームに迎えた。
3日前のボンケットアンコールFC戦では、0-4で完敗を喫してしまった。
だが、敗戦の中でも現在首位チームを相手に通用した部分もあったのも事実。
今節のクラウンも強豪だが、より高みを目指すにあたり、もう負けは絶対に許されない。
これまでチームが築き上げてきた自分たちのサッカーを出すことができれば勝機はあるはずだと僕は思っていた。
試合当日の午後1時、設営のために早めにスタジアムに行った。
容赦なく日差しが照りつけ、目を開けていられないほど眩しく、そして暑かった。
そんな中、僕らがまずとりかかったのがこのチームカラーのオレンジを基調とした幕の貼り付けだ。
スタジアムの雰囲気作りのためにこの手の幕は必須アイテムである。
だが、カンボジアにはその文化がない。
それを今回、クラブのカラーのオレンジ色を中心にロゴでも使われている紺と赤を入れることでカンボジアっぽいテイストに仕上げることができた。
この暑い中、スタッフの先頭に立ち、フェンスに横断幕を貼り付けてくれる加藤オーナー。
加藤オーナーはそれだけにとどまらず、白い横断幕に自ら文字を書き、バック中央付近に設置。
カンボジア人にとって、サッカークラブのオーナーとは「金持ちで太っていて、VIP席に偉そうに座っている」というイメージを持っている。
だが、他のスタッフと同じように率先して準備を行なったり、毎試合来てくれた観客一人一人と握手をする彼の姿は、これまでのオーナーのイメージを覆した。
また、最近、少しずつではあるがカンボジア人サポーターが増えてきていることを実感する場面に遭遇することが多い。
それは加藤オーナーのこういった行動はじめ、タイガーFCのスタッフ全員が「タイガーFCがカンボジア人にとってより身近な存在になる、彼らの潤いになる」という共通の目的のもとに行動しているからだと思う。
直射日光を受けて汗だくになりながら必死にフェンスに幕を備え付けている加藤オーナーの後ろ姿を見ながら、タイガーFCに関われてこの場にいることができて本当に良かったなと再確認した。
横断幕は 「Our Dream Our Hope Our Brave !!」 (私たちの夢、希望、勇気!!)
クラブのスローガンでもあるこの言葉は、まさにカンボジアンタイガーFCがカンボジアの人々に夢や希望、勇気を与えるような存在になろうという意味を込めてこの言葉にした。
試合中、僕達スタッフは選手たちのプレーを直接サポートすることはできない。
しかし、この横断幕を貼り付けたり、観客とともに応援することで選手たちの背中を押すことはできると信じている。
今日も強豪相手に怯むことなく勇敢に立ち向かっていく姿を見せてくれるはずだ。
また、チームのことを信じているのは僕らスタッフだけではない。
ここ最近、インターンで来ている学生たちもチケット販売や選手の顔写真やビッグジャージを貼るなど、皆それぞれ与えられた環境でフル回転で働いていた。3試合目ということもあり、僕達に言われる前に自分達で考えて準備しをしてくれていたので本当に助かった。
また、タイガーガールのあゆみちゃんは、前節に続き、試合が始まってからも大量のうちわを持って入口へ行き、配ってくれた。僕がスタンドで見ていてもいいよと言うと、「いいのいいの、私あまりサッカーとかわからないし、それにこういうの好きだし!」と笑顔で言い、再びうちわを配り始めた。
先ほどの学生たちにしろ、タイガーFCは多くのに支えられているのだと実感した瞬間だった。本当にありがとう。
そして今月は毎試合、サムライカレーさんがスタジアムグルメを出してくれた。
ちなみにカンボジアリーグの試合でスタジアムグルメと呼ばれるものはほとんどはない。
彼らはまず、試食をしてもらうことで味を知ってもらい、それが観客の購買意欲をかきたてているようだ。
スタジアムを「ただ、サッカーを観るだけの場所」から川崎フロンターレのホーム等々力競技場のように「試合だけじゃなく、ごはんも食べれるし、イベントも楽しめるようなテーマパーク」にするためには、彼らの存在は本当に大きい。
試合開始直前、スタジアムは予想通り、ほぼ満員になった。
この要因としてはもちろん、相手が王者・クラウンだからという部分は否めないが、今回は休日開催でスコールも降らなかったなどいい条件が揃ったため、観客が集まったと推測できる。(これまでは毎試合直前にスコールが降っていた=カンボジア人は雨だと外に出たがらない)
カンボジアンタイガーFCのホーム開催試合で史上最大の観客が集まり、大歓声に迎えられて選手達が入場してきた。
この日はアルビレックス新潟プノンペンのサッカースクールの子供たちがハイタッチキッズを務めた。プロの選手を前にみんな緊張気味だったが、目を輝かせていたのが印象的だった。
この日の先発メンバーはこちら。注目はなんといっても木原選手兼監督!
大黒柱の木原選手兼監督
チームの得点王FWカメルーン人プライバット
そして、ゲームメーカーでタイガーFCのナンバー10・MFヴィラック
この3人を中心とした攻撃力は間違いなく、リーグトップクラスだ。(13試合32得点は1位ボンケット、2位クラウンに次いで3位の成績)
タイガーFCの弱点は守備。
守備の要の友廣選手、FWも兼務している長身の吉原選手がケガしてしまったため、DFラインがカンボジア人だけになってしまい、かなり不安になった。
だが、この日は、クラウンの強力な攻撃陣を前にしても全く怯むことなく、クロスを入れられてもしっかりクリアをし、ライン際の微妙なボールでも諦めずに最後まで追いかけるなど気持ちのこもったプレーを見せてくれた。
特に前節のボンケット戦で自身の判断ミスで試合を決定づける3点目を奪われてしまったCBメイサーが躍動しており、絶対説明の場面で体を張ってクリアするなど大活躍。
そしてなんといっても素晴らしかったのが、吉田康幸選手兼GKコーチ。彼がいなかったら何点取られていたかわからないというほどスーパーセーブを連発し、シャットアウト。安定したセーブに攻撃時には正確なフィード。間違いなくこの試合のMVPは彼だろう。
彼らの姿はまるで、1996年アトランタ五輪で日本代表がブラジル代表に勝利したあの「マイアミの奇跡」を彷彿させるような粘り強さだった。
試合は、0-0の引き分けだった。
本当によく耐えたというのが、率直な感想。
タイムアップの瞬間、クラウンの選手たちはうなだれていた。
ここまで11勝2分で無敗のクラウンにとってこの引き分けは相当なダメージを与えることができたと思う。
勝点3は手にすることはできなかったが、これは勝利に等しい引き分けだ。
中断期間前、最後の試合で競合相手に五角以上の勝負ができたことは非常に大きな収穫。
そして、満員というこの素晴らしい雰囲気の中で素晴らしい試合ができたことで今後タイガーFCはより注目されるだろうし、応援してくれるサポーターも増えるに違いない。
この試合のハーフタイムだが、タイガーガールとソンハーによるダンスショーを開催した。
途中、観客席に向かってこのタイガーのロゴ入りのラスクを投げ入れるなどし、大盛り上がり。
そして、ダンスが終了した瞬間、観客席から拍手と大歓声が沸き起こった。
タイガーサポーターはもちろんのこと、クラウンサポーターも拍手しており、スタジアムは大いに盛り上がった。
今のタイガーFCのイベントは彼女たちの存在なしには考えられない。
また、スタジアムの雰囲気作りに欠かせないのが「応援」である。
その応援を試合中、タイガーFCのスクール生を中心に行ない、毎試合徐々に人数が増えてきて、簡単なチャントなどもできるようになってきた。(カンボジアでは応援の文化がほぼない)
彼らはスタジアムに来て、僕の姿を見つけると「今日太鼓ないの?」と聞いてくる。 ※太鼓は高価なため、スタジアムにあるのを借りている
どういうタイミングで「タイガーコール」をするのが1番いいか、毎回僕に聞いてくるので今、教えている最中である。
この強豪との2連戦ではついに自発的に選手名をコールできるようになった。コールはまだ、MF木原、GK吉田、FWプライバットの3人だけだが、サポーターに顔と選手の名前を覚えられている証拠である。これは嬉しい出来事だった。
また、先日ソンハーくんが訪問した孤児院の子供達をこの試合に招待した。
彼らは、声を枯らしながら終始ずっと応援してくれた。
彼らにゴールや勝利をプレゼントすることはできなかったが、選手たちの諦めない姿勢は子供たちの胸に響いたはずだ。
引率してくれたさきちゃんはじめ、くっくまの皆さん、ありがとうございました。
アルビレックス新潟プノンペンスクールの日本人の子供達も孤児院の子供達、タイガーFCスクールの子供達と一緒に「タイガーコール」をしてくれた。彼らの声援はきっと、選手の力にもなっていたはずだ。
彼らの存在は本当に大きい。
まだ若いが、今後も末永くタイガーFCを支えてくれることになるだろう。
試合後にサポーターと記念撮影。
それを再確認することができた試合となった。
今回強豪との2連戦が終わり、リーグ戦は1ヶ月の中断期間に入った。
次は9月12日
前半戦はアウェイ7連戦だったが、今度はホーム5連戦なのでしっかりと準備をして、見に来てくれた観客が楽しんでもらえるよう考えて行きたいと思う。
カンボジアンタイガーFCを支えてくれている皆さん、本当にありがとうございます!
今後も応援よろしくお願いします、
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