「昨年の開幕前夜、僕たちは希望に満ち溢れていた」





開幕を翌日に控えた2月18日夜、去年の開幕前のことを思い出した。

その時、まず真っ先に浮かんできたのがスタッフの翔吾が言ったこの言葉だった。



昨年のリーグ開幕戦、当日になってもスタジアムは完成しておらず、果たしてお客さんは来てくれるのだろうか、どうすれば観客は盛り上がってくれるのか、何もかもが不透明なまま開幕当日を迎えた。

この先、どうなるのか全く想像もつかなかったし、不安だった。


だが、そんな不安以上にこぼれ落ちるくらいの希望で胸がいっぱいだったのは今でも覚えている。







その気持ちは、2シーズン目を迎えた今年も同じだった。


試合前夜、仲の良い仲間で一緒に夕飯を食べ、明日の試合についてそれぞれの思いを話す。 

ある選手が開幕戦が楽しみで仕方がないと話していた。

彼は昨年、カンボジア国内の他クラブでプレーしており、いわゆる「敵」ではあったが、私生活では仲が良く、シーズン終了後に一度日本へ 戻るも僕たちのことが忘れられず、またカンボジアでの生活を求めて戻ってきていた。

そして、まさかの同じチームになるとは思いもしなかった。

彼に加え、今年も同じ仲間と一緒に開幕戦を迎えることができて本当に嬉しかった。







そして開幕戦当日を迎えた。

いろんなことを考えてあまり眠れなかったが、みんなに会うと自然と心の底から力が漲ってきた。

選手もスタッフも気合十分だ。

サッカー関係者ではない友人たちも見に来てくれるという。

2年目となると昨年のような不安はほとんどなく、みんなの表情からも勝つ気持ちを感じることができた。



午後3時
バイクにまたがり、敵地・RSNスタジアムへ。



着いて早々、何やら昨日とは違うことに気付いた。

前日練習の時にはなかった開幕戦開催を知らせるゲートとチケット販売所が新たにできていた。

もちろん、日本や欧州のそれと比べると物足りないかもしれないが、カンボジアにとってはこれでも十分大きな変化なのである。これを見て、またちょっと気持ちが高ぶったのはいうまでもない。
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また、今回は「完全アウェイ」を予想していたが、 着いてみると既にタイガーシャツを着た数人のサポーターが僕たちのことを待っていた。
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昨年の開幕前は、街中でタイガーと言っても誰一人として知る人はいなく、寂しさを感じることが多かった。

だが、今年は違った。


キックオフが近づくにつれ、その数は増えていき、最終的には約100人ほどまでになった。

そして、木原選手のゴールが決まった瞬間、全員が立ち上がり、喜びを爆発。

相手チームや審判と戦うまでにタイガーのことをサポートしてくれた。



残念ながら試合は1-3で敗れはしたものの、試合内容を見ても昨年より確実にレベルアップしており、王者クラウン相手でも真っ向勝負ができることができたと思う。今後に期待したい。
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そして翌日、翌々日と他のチームの試合も見に行ったが、嬉しいことに昨年よりも確実に観客数は増えていた。
しかも、クラブチームのユニフォームを着ていたり、女性の姿も多くみかけ、話してみると中には僕よりもリーグや選手情報に詳しい人もおり、驚いた。(昨年までの観客は9割以上が男性、ユニを着ている人も皆無だった)
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タイガーだけでなく、フットボールがカンボジアの人々の生活の一部、心の潤いになるつつあると実感。


一時の代表人気ではなく、「フットボールを観るという文化」がこのまま根付いてくれることを願う。