2017年1月31日


この日は特別な日だった。

プノンペンでAFCカップ2017プレーオフ第1戦ボンケット・アンコールFC(カンボジアリーグ1位)対ラオトヨタFC(ラオスリーグ2位)が行われ、両チーム合わせて6人もの日本人選手がスターティングメンバーに名を連ねた。

その中に昨年まで一緒のチームに所属していた村松知輝選手(ボンケット)と定國智之選手(ラオトヨタ)の姿があった。


昨年秋のリーグ終了時、彼らとの別れを悲しんだが、同時にいつか彼らが国際舞台で活躍する姿を見てみたいという思いを抱きながら、皆お互い違う道を歩んだ。

そして、あの時願った夢がまさかこんなにも早く実現するとは、人生とは本当にわからないものだ。

昨年11月にリーグ優勝したボンケット・アンコールFCに移籍したムラ(村松選手)はベトナムで行われた国際大会BTBカップに出場した際、怪我を負ったが、年末に行われたメコンクラブチャンピオンシップ2016で復活。昨季、得点ランキング3位(15得点)だったこともあり、カンボジア国内での知名度は高く、移籍したボンケットでも背番号10番を与えられ、既に中心選手としての役割を担っている。
image

※BVBカップ準決勝ボンケット対湘南ベルマーレ戦の様子



一方のサダ(定國選手)は年始にバンコクで再会。近況を聞くと昨年末にラオスへ行き、ラオトヨタFCに練習参加し、ある程度の手応えを感じていたようだった。その後、年始に正式に入団し、ラオスオールスターにも選ばれ、ムアントン・ユナイテッド戦に出場した。
sadaatarlls



試合当日、オリンピックスタジアムのいつも見慣れた入場ゲートから観客席に入ると、ウォーミングアップを終えて控室に戻る2人の姿が見えた。彼ら二人の姿を見つけた瞬間、一緒に観に行った友人達が彼らの名前を呼ぶと、それに気づいてくれた。二人共集中はしてはいたが、どことなく嬉しそうだった。

前所属クラブ時代、二人は共に仲が良く、よく一緒に食事していたが、今はお互い国の威信を背負ってこのスタジアムに立っている。彼らはまだ20代で、きっとこの先もサッカーを続けていくはずだろう。だが、国際舞台で対決するなんてもう下手したら一生ないかもしれない。そんなことを考えながら感傷に浸っていたらあっという間に時間が過ぎ、すぐに選手が入場してきた。


AFC(アジアサッカー連盟)主催のこの大会はFIFAアンセムは流れないということは前日のプノンペン・クラウンFC対ホーム・ユナイテッド戦で経験済みだった。この日も観客はもちろんのこと、選手たちもこの聞き慣れないAFC独自の入場音楽に少々戸惑っている様子に見えた。(後で選手達にも確認したらやはりそうだったらしい)



両チームともに集中力が漲っていていい表情をしている。音楽が止まり、選手達が交互に歩み始め、挨拶をし始めた。僕は初めて学芸会に出た息子を見ているかのような心境で見つめた。
image


2人が握手し、ピッチ上で再会。

残念ながら写真におさめることはできなかったが、これから始まろうとしている真剣勝負に胸が高鳴った。


前半、ホームの声援を力にボンケットが試合を優位に進めると17分、カンボジア代表FWラヴォラヴィーの得点で先制。
幸先よいスタートを切ったかに見えたが、その6分後同点に追いつかれると、30分にカンボジア代表GKヤティ、42分にDFソヴァンリティの合計2人がまさかの退場。9人でのプレーを余儀なくされる。


後半、前線で注目のFWムラが孤軍奮闘。65分に藤枝MYFCへの移籍を発表したカンボジア代表FWチャン・ワタナカを投入し、2人でチャンスを演出するも得点には至らず。

一方のラオトヨタは9人になったボンケットが本来はボランチのMF水野輝をCBに下げ、中央を固めてきたので得点おろか、チャンスも作れず。

試合はそのまま1-1で終了。
勝敗の行方はビエンチャンで行われる第2戦へ持ち越されることとなった。

【試合ハイライト】


【試合詳細】
afccup2-17playoff1st



また、この日の観客数はが約7000人。毎回満員になる代表戦と比べると少し寂しいが、実際は公式発よりももっと入っているように見えた。カンボジアでは、昨年行われたU-16ASEAN選手権のような連戦だと非常に多くの人が来る傾向があるが、単発の試合では事前情報を知らない人が多くなかなか集まらないのが現状だ。
image




僕らが注目した2人は試合中、いくつかマッチアップを見せた。相手DFを何度も翻弄したムラのドリブルはこの日も絶好調。だが、サダはこれまで練習で何度もやってきたので不用意に突っ込まずにしっかりと付いていた。ムラはフル出場、サダは75分までプレーした。
16386908_1422112294500527_4687807525210397484_n
※Boeung Ket Angkor FC Facebook pageより



今回、自分が関わった2人の選手の真剣勝負が国際舞台で行われているという事実を間近で見ることができて幸せを感じた。死ぬ気で頑張っている選手達には申し訳ないが、この試合がいつまでも続いてほしいと試合中思いながら見ていた。



そして、この勝負の結末は明日決まる。


AFCカップ2017プレーオフ第2戦
2/7 18:00 会場:ビエンチャン
ラオトヨタFC 対 ボンケット・アンコールFC



現地には行けないのでテレビ観戦となる予定。
どちらかしかグループリーグへ進出することはできないが、どんな結末になったとしても、この先も2人は応援していきたいと思う。